機関紙「いしころ」第四号
                          編集・執筆・発行 シオンの丘教会
                   坂田 浩
 機関誌「いしころ」第四号をお届けします。
 
緊急事態宣言が全国で解除されました。とはいっても北九州や韓国で、またクラスターが発生したのだの、感染者が出たのだの聞いていると、やっぱり心配になります。でも、この経験を生かさない手はありません。私たちは容易につらい経験を忘れ、楽な方に流れていきます。過去を忘れないというのは相当のエネルギーが必要です。でも、毎週2000年前の人物に思いをはせてきたわたしたちです。ちょっと前の出来事を忘れないこともできないことではないと考えます。この経験から皆さんがいただかれた知識や経験や知恵を出し合って、これからの教会を建てあげていくことに役立ててまいりましょう。


 教会としては、6月7日の主日礼拝を活動再開のスタートといたします。本日の役員会で今後の活動の持ち方を協議し、できる限りの予防策を講じたうえで、それでも感染の確率はゼロにはなりませんが、私たちだけでなく地域からも待たれている諸活動再開へ向けて準備を進めてまいりたいと思います。

*牧師の独り言
いきなり閑話休題というのも恥ずかしいけれど、何を書こうかと思った時に、すぐには思いつかず、ちょっと焦っているときに、一冊の本と出会いました。そしてそこに書いてあることに私は救われた思いがしました。
「1947年10月5日、初めてテレビ放送されたホワイトハウスからの演説で、トルーマン大統領は、ヨーロッパの飢えている人たちのための穀物備蓄に寄付するために、火曜日には獣肉を、木曜日には鶏肉を食べるのを控えてほしいと国民に頼んだ。」これはニューヨークタイムズ紙の「今日はどんな日?」という欄に掲載された記事である。初めての放送で、大戦に勝利した国の大統領が、語った言葉としては異例であると思えます。当時米国の一部の人々はその要請を笑ったり、皮肉ったりし、大半は無視したそうだ。でも、この大統領には、戦争による後遺症から容易に抜け出せず、飢えに苦しむ人々の様子が見えていて、その苦しみのいくばくかを共に味わっていたということがわかる。

そうでなければこんな言葉が出てくるはずがない。しかもその中には自分たちと戦って殺したり、殺されたりをしていた国の人々も含まれていたのです。トルーマン大統領、彼は私たちと同じサザンバプテストの信徒です。ですが、これまで私は、彼を原爆投下の許可を出した恥ずべきクリスチャンだとしか思っていませんでした。

 

同じ教派の中にそんなことをした人間がいたことを恥ずかしく、やりきれない思いでいました。しかし、この記事に触れて私は、彼が悪魔でも、権力にしがみつく亡者でもないことがわかり涙が出る思いだったのです。

 

今般のコロナの出来事の中で、我が国の首相はじめ様々な首長たちが、国民、県民、市民に対して要請を繰り返しました。普段人にものを頼むことなどないこのような人たちからすれば、それはあまり心地よいものではなかったでしょう。でも、この国の民は、その要請に耳を傾けて従いました。もちろん例外もありましたし、自分の命が惜しいという思いも強かったでしょう。しかし、上に立つ人間が、頼みごとができる国というのは、ある意味とても健全な国ではないかと思いました。命令でなければ効果がない、罰則も含めてもっと中央の権限を強化すべきだという意見も出て来ましたが、しかし、必ずしもそうしなければならないというのではないということが明らかになり、日本も捨てたものではないと私は思いました。


この私たちの国民性がもっと世界に役立つものとして用いられんことを切に願うものです。
                 
                 2020年5月29日



機関紙「いしころ」第三号
                            編集・執筆・発行 シオンの丘教会
                   坂田 浩
機関誌「いしころ」第三号をお届けします。
 
待ちに待っていた緊急事態宣言の解除の時がやってまいりました。とはいっても元通りというわけには到底いかず、私たち一人一人が新しい生き方、ライフスタイルを見出し、それを実践していかねばならないということが一人一人に求められている、そのように皆さん心を引き締めておられることと存じます。


 教会としては、5月31日までは、当初の予定通り活動を休止します。そのうえで、6月からの活動の持ち方を協議し、できる限りの予防策を講じたうえで、それでも感染の確率はゼロにはなりませんが、主日礼拝他ウィークデーの諸活動再開へ向けて準備を進めてまいりたいと思います。

*今私が気になっている事…牧師の独り言
『氷の世界にならないために』
 最近、井上陽水の「氷の世界」という歌が気になって、繰り返し聞きました。その3番の歌詞はこうです。
  
人を傷つけたいな
誰か傷つけたいな
だけど出来ない理由は
やっぱり ただ自分が
恐いだけなんだな
そのやさしさを秘かに
胸にいだいてる人は
いつか ノーベル賞でも
もらうつもりで
ガンバッてるんじゃ
ないのか
ふるえているのは
寒さのせいだろ
恐いんじゃないネ
毎日、吹雪、吹雪、氷の世界

「人を傷つけたい」なんて直接言うなんてことは普通はありませんし、もし口に出したとしたら、周りにいる人はその人を精神科か何かの相談窓口に連れていくだろうと思います。でも、近年、「私は障碍者を殺せます」と国会議員に手紙を書いた人物が登場しました。


そして、彼は本当にかつて自分の勤めていた障碍者施設で19人の入所しておられた障害を持つ人々を殺害したのです。彼は、自分がこの国から障害者を殺害して無くすから、その後、国が自分を守ってくれるようにとも要求していました。とても本当にあったことだとは思えませんが、なんでこの人はこんな考えに到達してしまったのか、皆さんどう思いますか。


そして今、このコロナ禍のさ中、苦しんでいる人々に対してバッシングが巻き起こっていることが毎日取り上げられて胃が痛くなります。単なる嫌がらせという域を超えて、危険なもの、自分の意に沿わないものは徹底的に取り除く、100パーセントの安全でないと我慢できない、そういう心のありようを持つ人がかなりの割合いるということです。私にはこの事態は、私たちがこれまで大切にしてきた、そして頼りにしてきた社会的絆を断ち切り、すべてを氷の世界に閉じ込めてしまうものにしか思えません。今教育のことも盛んに議論されていますが、教育の基本は集まって一緒に学ぶことです。オンライン授業があれば学びはできます。しかし、人が生きていくうえでなくてはならない社会的な発達という側面をどう手当てしていくのか、それが私にはとても心配です。子どもたちの柔らかく傷つきやすい心が、これから自分の生きていく世界を氷の世界だと認識しないでほしいし、そうならないためにできることは何かを考え続け、私たちにできることには取り組んでいきたいと強く思います。

 

最後に、この歌詞の中で彼は、「やさしさ」という人間にとって大切な思いも、頑張って、ガンバって作らなきゃならないもんだとい言っています。確かに、やさしい人と見られたいと懸命に演じている人・・・、なにか自分自身のことを見透かされているようでギクリとします。皆さんも、この期間たくさんの歌を聞かれたと思いますが、何か気になった歌詞はありますか。いつかそんなことを話す時が与えられたらいいですね。

    
*出版のご紹介
当教会の第二代目の牧師をされておられた佐々木昭正先生が、本を出されました。
タイトルは「神の足跡」です。代金は1210円。教会で取りまとめて発注しようと思いますので、ご入用の方は本日24日までに坂田までお知らせください。
なお、アマゾン、キリスト教書店等でも直接入手できます。 
                 2020年5月24日



機関紙「いしころ」第二号


                         編集・執筆・発行 シオンの丘教会
                   坂田 浩

 

機関誌「いしころ」第二号を手に取ってくださりありがとうございます。
 
さて、緊急事態宣言の解除が待ち遠しい今日この頃ですが、しかし、解除されたからと言ってすべてがコロナ騒ぎの前に戻れるかというと、そうではないということが明らかになって、一層の不安や失望がますます深まっている気がいたします。

 各種報道でも、どうしたらこの逼塞した状況を乗り切れるのかという方法が数多く紹介されていますが、皆さんはどうのようにして乗り切ろうとしておられますか。まず、皆さんの一番の情報源は何ですか。テレビ、ラジオ、やっぱりスマホですか。私は何といっても新聞です。このような状況になってますます新聞の意義に気づかされました。様々なジャンルの情報を一度に見ることができ、しかも、何度でも見返せるのは一番の強みです。株価とかの欄は全く飛ばしていますが、あとは一応目を通します。中でも一番のお気に入りは、川柳のコーナーです。こういうセンスが自分にはないので、感心しきりです。最近特に心に残っている一句は、小学3年生の男の子の句です。

 

  「弟は入学なしの一年生」
 何というかわいさ。いじらしさ。真新しいランドセルを背負って、お兄ちゃんと一緒に学校に行く真似をしていた娘を思い出して切なくなりました。人生の旅路の出発点を襲ったこの騒動が、子どもたちの人生に暗い影を落とさぬように願うとともに、こんな温かい目で見守ってくれるお子さんを持たれたご家族をうらやましく思え、どうやったらこんな子が育つのかと考えさせられました。皆さんいかがですか。
また、ユダヤ人で第二次大戦中強制収容所に収監されたヴィクトール・フランクルが収容所
から生還した後に書いた本の中で、ユーモアの大切さを上げています。彼は一人の同僚と少なくとも一日に一つ、愉快な話を見つけることをお互いの義務にしようと約束した。現実に起こったことに限らず、たとえばもし今の我々が豪華な晩餐会に招待されたとしたら、スープを継ぐ係の人に何と言うだろうとかいう具合に・・・。どんなに閉塞された状況の中であっても、一方にユーモアを置くことができれは、苦しみを絶対化せずに済むし、それが心に余裕を産み、困難を生き抜く力を人に与えるということを発見したのです。来る日も来る日も同じことの繰り返しのように感じられるこの時こそ、違った角度で周りを見て見るなど、今だからこそできることを探して見られてはいかがでしょうか。
   
閑話休題・・・

さて、最近、芸人やスポーツ選手の方々が動画をYouTubeにアップしているのをご存知でしようか。なんと当教会もその仲間入りをいたしました。ユーチューブで直接検索しても結構ですし、シオンの丘教会のホームページからでも見ることができます。

ホームページからの行き方はパソコン、タブレット端末の場合、ホームという項目が並んでいる場所(お知らせ、教会紹介・・・等)の中の《牧師室から》を選択し、次にあなたへのメッセージを選択、つぎに2020年を選択すると、メッセージを聞くことができます。もしくは、ホームページの一番下の、【更新履歴 礼拝メッセージ動画を更新しました】からも行くことができます。まだまだ改良の余地はありますが、できるところから手を付けていこうと思いますので、良かったらご覧下さり、ご意見をお寄せください。スマホをお使いの皆さんもご覧いただけますが、スマホの容量や契約プランによっては動画を見ることによって動作が遅くなったり、追加料金が生じる場合もありますのでご注意ください。また、「チャレンジしたけど、どうしてもたどり着けなかった」という方はご連絡ください。一緒に悩みましょう。
 
寄せられた声から・・・
Q1. 何で「いしころ」なの?  

A1. ルカによる福音書 19章40節に次のような出来事が記されています。エルサレム入場のおり、群衆が大声で神を賛美しつつイエスを迎えている様を見て、敬虔なユダヤ教徒の一人が、これを放置してローマの耳に入りでもしたら厄介なことになりますと心配し、イエスに静かにするよう言ってくださいと要求したのです。それに対してのイエスの答えが「言っておくが、もしこの人たちが黙れば、石が叫びだす。」でした。
どんなに押さえつけても、いつか必ずどこかで声を上げる人ができますし、クリスチャンはどんなところにおいても、神のみ心を語り続ける務めをイエスさまからゆだねられていると思うのです。だから私も一人のいしころとして、自分にできることを発信しようと思いました。
    
*出版のご紹介
当教会の第二代目の牧師をされておられた佐々木昭正先生が、本を出されました。
タイトルは「神の足跡」です。代金は1210円。教会で取りまとめて発注しようと思
いますので、ご入用の方は24日までに坂田までお知らせください。なお、アマゾン、
キリスト教書店等でも直接入手できます。 

                                              2020年5月16日 




 

シオンの丘教会の皆さま

 

頌主

 

桜の花が満開を迎え、本来なら生命の息吹にあふれているこの季節に、このようなお知らせをしなければならないことを心から残念に思います。本日出されました非常事態宣言のことは皆さんご存知のことと思いますが、日本では戦時中以来のことになります。それは今日の事態がそれに匹敵する規模の困難であるということを意味しています。

 

来週はイースター礼拝というこのタイミングでの発令が何を意味するか、それぞれが真剣に考えてみてください。今私たちは、主が十字架に架かられる苦しみを覚える受難週ただ中です。その苦しみが私たちのためであり、主の愛がすべての人に向けられていることを知っている私たちは、それぞれの苦しみや恐れを主が共に担って共に歩いてくださっていることを思い、祈りつつ、また主に感謝しつつ、この時を乗り切ってまいりましょう。

 

教会はこれから510日まで、すべての集会を休止いたします。ですので皆さまに次回お会いするのは、510日の礼拝となります。しかし、これも  コロナウイルスの危機が沈静化していればの話です。流行が継続し、非常事態宣言が続く間は、教会の集まりを開催することはできません。兄弟姉妹に会いたい気持ちは共通だと思いますが、復活の朝を信じる教会は、この2000年の間何度も、これ以上の危機を乗り越えてきました。ですので、日々の礼拝を大切に、それぞれの命、またご家族の命を第一にお過ごしください。

 

何か緊急の場合、またご心配事があれば、いつでも牧師の携帯(090-8289-4940)へお電話ください。教会からの情報発信については、ホームページ、インターネット、ファックス、郵送等、できうる限りのツールを用いて発信をしてまいります。

 

皆さまの上に主の助けと守りをお祈りいたします。在主

               

                                   202047

                                  シオンの丘教会 役員会一同